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聖バルナバ教会礼拝堂(茨城県土浦市)

茨城県土浦市内、土浦城跡の西に位置する教会の礼拝堂が、昨年20258月1日に新たに国の有形文化財として登録されました。95年前の1930年に建てられ、土浦周辺地域で初の鉄筋コンクリート造の建築物ということです。設計者は、佐藤組建築事務所の佐藤吉三郎。建てられた当初の状態が維持され「国土の歴史的景観に寄与している」と評価されました。

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礼拝堂の外観

四角平面に八角屋根を載せた鐘楼が外観のアクセントになっているモダンな造り。鉄筋コンクリート造の壁式構造で、内部は木造トラスがあらわしになっています。外観の見た目よりも内部は解放感があり、また木造の小屋組みが見えていることで、鉄筋コンクリート造の建物だということを忘れてしまいそうな暖かみのある空間となっています。

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暖かみのある礼拝堂内部

昭和初期の足踏みオルガンは、1938年に桜川が氾濫し洪水になった際、礼拝堂も床上浸水になりましたが、当時の牧師さんが一人でオルガンを壇上に担ぎ上げ、難を逃れたと言い伝えられているそうです。本当の「火事場の○〇力」ということでしょうね。また、しばらく故障した状態が続いていましたが、運よく修理する職人さんが見つかり、現在はまたその音色を響かせることができているそうです。

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現存している足踏みオルガン

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2017年に設置されたばかりのステンドグラス


建物は満州事変の前の年に建てられました。終戦の年、空襲によって焼失する教会もある中で、この建物は戦禍をまぬがれ、苦難の時代を乗り越えました。この貴重な建物を後世に残そうとする教会関係者や地元の方たちの強い思いが登録に繋がった、というお話をお聞きして、とても嬉しく思いました。


文・写真:赤木香菜子/一級建築士

出典:NHK 首都圏NEWS WEB
NPO法人 NEWSつくば
Lucky FM

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# by jogikai | 2026-02-01 08:00 | 歴史的建築物 | Trackback | Comments(0)

 

函館の和洋折衷住宅

先日、函館を訪問して、街歩きをしました。
その際、函館独特の和洋折衷建築住宅をたくさん見ましたので紹介したいと思います。

まず、「和洋折衷住宅」ですが、明治初期開国後、西洋文化・建築が流入。官庁・軍事施設・外交関連の建物に西洋建築が導入されましたが、一般の住宅は依然として和風でした。

上流階級や知識人の間で「西洋館」や「洋間(客室用の応接室)」が取り入れられました。

多くの場合、日常生活は和式、客人の応対やハイカラな生活演出には洋式、という二重生活のかたちでした。

それらの部屋は平面的に構成されていますが、函館の場合は立体的なのです。

つまり、1 階は和式、2階は洋式と言う「上下和洋折衷様式」なのです。


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写真 1) 末広町にはたくさんの和洋折衷住宅が並んでいます。


何故、こんな形になったのかは諸説あります。港から見ると洋館の印象を与える工夫としての「上下和洋折衷様式」です。


函館は函館山の中腹に旧市街地が広がり、港の船から住宅がひな壇のように望めます。函館山の夜景は有名ですが、わたしは港付近から函館山を見上げる風景が大好きです。


その場合、山腹の住宅の2階の洋式部分がシアトルの丘の住宅のように見えるのです。


そして、1階の和室は今までの生活習慣を続けることが出来た。2階は外国人との交流で洋風の応接空間が必要だった。基礎部分や1階は日本の大工の技術で施工されていた。

といった要因が組み合わさった結果だといいます。


私が見学した2棟の住宅を紹介したいと思います。


一つ目は、「いろは雑貨店」(函館市末広町14-2

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写真 2) いろは雑貨店

明治 41 年に海産問屋として建てられた趣ある建物で営む和雑貨店。

1 階が簓子(ささらこ)下見板張りで格子窓の和風建築、2 階が南京下見板張り、縦長上げ下げ窓、軒蛇腹の洋風建築になっていて、函館らしい和洋折衷な建物です。

店内も明治のままの天井や古い電気配線などが見られ、雑貨を見ながら建物のよさも感じられます。1980年代にオーナーが昔の建築様式に修復し、1階部分を雑貨店(古本店)として利用しています。4 面すべてが和洋折衷という希少な構造です。

もう一つは、真壁家住宅店舗「手作りソフト大三坂」( 函館市元町17 - 9

明治 411908)建築で、1 階は簓子(ささらこ)下見板張と格子の入った引き戸や出窓の和風、2 階は縦長窓が四つ並ぶ洋風で、和洋折衷様式の建物です。


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写真 3) 真壁家住宅店舗(手作りソフト大三坂)


元は漁業関連会社の社宅だった町家で、現在は向かって右横の出窓を利用したソフトクリームショップの店舗として利用されています。両側に明治・大正時代の建物が並ぶ、石畳の情感あふれる大三坂を上っていくと、右手にある元町カトリック教会があります。


その反対側にあるグリーンの下見張りの側面に小さなソフトクリームの販売窓口だけがある建物です。


建物も素敵ですが、駒ヶ岳牛乳を利用したソフトクリームは無添加で、坂道から港を見晴らす場所で食べるソフトクリームはお勧めです。


文・写真:山本典子 / 一級建築士


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# by jogikai | 2026-01-15 08:00 | 散歩・旅行 | Trackback | Comments(0)

 

硝子と氷の結晶 2026年元旦

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朝日が昇り始める王ヶ頭ホテルの見晴台からの眺め


東の空が薄紫色から橙色に。そして山々が陽に照らされて燃えるような色合いに変わる頃、ホテルの食堂の硝子に光が差し込み、美しい光と氷の造形を見ることができます。

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ホテルのミラーガラスに映りこむ朝日(右側写真)


ミラーガラスは表面に金属酸化膜を焼き付けた硝子で、太陽のエネルギーを反射するもので熱線反射ガラスとも呼ばれています。このコーティングにより、外からは内部が見えませんが、部屋内部からは外を見ることができます。

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ホテルの普通ガラスに映りこむ朝日


食堂の窓から朝日を見ようとしたところ、ガラスの内側に氷の結晶「窓霜」がついていました。窓霜(まどしも)は空気中の水蒸気が凍ってできる現象で、ひとつずつの結晶が繋がって鳥の羽根に見えたり、唐草に見えたりする自然の造形です

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鳥の羽根や唐草模様を作り出す窓霜


氷点下6度を下回り、太陽が拝める日にできる現象なので、いつも見られるということではなさそうです。

早起きして、この美しい自然の芸術が見られるのはラッキーです。

文・写真 小林輝子/小林輝子建築デザイン


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# by jogikai | 2026-01-01 08:00 | 素材・仕上材 | Trackback | Comments(0)