建築の裾野が広がってきましたね。
最近、「建築出身です」という方と良く遭遇します。
私たちが学生だった頃は、建築出身なら設計(構造、設備も含む)にいくか、都市計画や行政にいくか、または、施工かハウスメーカーか、教育か研究か。。と行き先は狭かったけれど、まあ、それだけ仕事があふれ人材が不足していたということでしょうか。
それが近年は、イノベーションビジネスや地域活動やイベント活動、アートや修復といったものづくりなど、ちょっと話の方向が合うなあと思うと、実は建築出身なのだと言われます。
大学も、まちに出ていき世界に出ていくように、そして、社会を改善するような取り組みや新しい仕組みづくりに関われるように授業をしていると聞きますし、なにより、建築構築やデザインには、社会や暮らしのこれからについてや科学や物理、地理地学や気象、歴史文化風土や人体生理の知識も必要で、興味関心や学ぶべき事が広いので応用が効き易いのでしょうか。
東京建築士会が主催する「これからの建築士賞」というのがあって、建築士の新たな取り組みにスポットをあてて表彰いるのですが、その中でも、よくあるまちづくり活動やまち医者活動ではない取り組みに、「おお!」と注目しました。
ひとつは、家の庭を隣りの保育園の園庭にしている事例。
これは、いつまでも自分の家の敷地境界に拘っていないで、隣り近所と庭を共有することができれば、まちはずっと豊かになる筈!と常々思っているのですが、こんな仕組みがひろがっていく日も近いかもと思わせてくれます。
もうひとつは、公共建築に於ける設計者の決め方を設計しなおす取り組みの事例。
自らが設計したり選考委員になるのではなく、こうした立場で活躍する建築士が増えることが、公共建築のグレードアップにつながるのでは。。と思わせてくれます。
「社会をデザインする発想と提案」は、今までもこれからも、仕事が大きくても小さくても、建築士に必要なことですからネ。
木村真理子/一級建築士