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【前編】漆喰の話

部屋の中の壁・天井、外壁には昔ながらの漆喰仕上をお勧めしています。漆喰のメリット・デメリットを交えてお勧めする理由をお話します。


◆漆喰のメリット◆

①ナチュラルで本物の素材感

グリーンとの相性も良く、それだけでインテリアのグレードを上げてくれます。

②照明器具が少なくて済む

漆喰は固まっていく過程で結晶化します。光の入りにくい部屋でも、方解石の結晶が光を反射して、部屋全体が間接照明のようにぼんやり明るくなります。照明器具は少なくても大丈夫ですし、小さな窓でも十分明るさが確保できます。壁や天井に光が当たることによって漆喰の刷毛目が生み出す陰影は、それは美しいのです。

③冷暖房効率

漆喰を塗った夏の室内はひんやり、とっても涼しい。外壁に塗れば直射日光を反射してくれるので外壁温度がそれほど熱くならないのです。外気温35の時、集熱して蓄熱してしまうサイディングの壁は60近くになることがありますが、漆喰の外壁は気温と変わらず。室内にも熱が入りにくいのです。

④湿度調整

雨の日も、吸湿してくれるので部屋の中がジメジメしません。さらっとして、とても快適です。部屋が乾燥してくると逆の作用でゆるやかに壁体から水分を放出してくれます。

⑤匂い対策

気になる部屋の匂いもとってくれます。家の中で焼肉をした次の日にお客様がいらしても、まったく安心です。ペット、タバコの匂いにも有効です。

⑥火災に強い

お城や蔵など、昔ながらの建物に漆喰を使っているのは、漆喰が火に強いから。バーナーであぶっても表面が茶色く焦げる程度で火は消えます。ビニールクロスなどの石油製品は燃えると有害なガスが出ます。火災の時そのガスを吸って意識を失い、逃げることが出来ずに亡くなる人が多いのだそうです。

⑦良い菌が住み着く

昔から酒蔵や醤油蔵の壁は漆喰です。漆喰の空間では匂いや汚れの原因になる腐敗菌よりも発酵に有効な麹カビや酵母が育ちやすいのだそうです。

悪いカビが全く生えない訳ではないです。インフルエンザウイルスに強い!などの記事も見ますが、私は漆喰の家に住んでいてもインフルエンザになりました。インフルエンザに関しては、食事と睡眠をしっかりとって免疫力を高めることや日々の手洗いやうがいなどが重要だと思います。

⑧リフォームの回数が減る

漆喰は一度塗ると、ほぼ家の生涯年数くらい塗り替えをしなくても大丈夫です。10年に一回クロスを張り替えるなら、その二回分くらいの金額で施工できます。

⑨メンテナンスが楽

漆喰は静電気を帯びない素材です。ビニールクロスのように、静電気で汚れを集めてしまって黒く汚れることはありません。
でも、刷毛目の上に埃が積もってしまうことがあります。その時は、逆に静電気の力を利用します。市販のビニール手袋を手に付けて、ささーっと漆喰の壁の上を滑らせたら、埃はビニール手袋が静電気で持って行ってくれます。


前半では漆喰のメリットを中心にお話しました。次回、後半では逆に、漆喰のデメリットをお話します。

【前編】漆喰の話_e0264942_19504796.jpg
文・写真:松山千晶 / 一級建築士事務所 ゆくり設計室


by jogikai | 2021-08-01 19:54 | 素材・仕上材 | Trackback | Comments(0)  

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