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【後編】漆喰の話

部屋の中の壁・天井、外壁には昔ながらの漆喰仕上をお勧めしています。漆喰のメリット・デメリットを交えてお勧めする理由をお話します。今回はデメリットの話です。


漆喰のデメリット

①イニシャルコストのこと

ビニールクロスやサイディングに比べると、新築の際のイニシャルコストがかかります。しかしメンテンナンスを含めた家の生涯コストと比較すると割安です。例えばめくれてきたり、カビが生えたビニールクロスを10年に一度張り替える必要がありますが、一方で漆喰は生涯塗り替えの必要がありません。

②隙間のこと

漆喰は塗る時、大量の水を投入しますので、それが乾燥すると縮みます。木の柱や梁、木の枠と接してるところは必ず隙間ができます。漆喰の元である石灰があれば、これを水で溶いて筆で塗るだけで隙間は埋まります。小さな浮きやクラックも、業者を呼ばず、自分で直すことが出来ます。

②外部の汚れ

蜘蛛が漆喰の明るさを好むので、蜘蛛の巣がつきやすいです。その対策に「蜘蛛の巣キャッチャー」という商品があります。釣り竿のような棒で、電池式、先端が振動して蜘蛛の巣をまるで綿菓子のようにからめとってくれます。伸縮する棒なので高いところでも大丈夫です。

③施工の手間

クロスなどの乾式工法に比べて、漆喰を乾かすのに除湿器が必要です。乾いて固まるまで一週間くらいかかります。工程の調整を上手にする必要があります。


トータルで考えると、初期費用がかかりますが、メリットの方が圧倒的に大きいと思います。(詳細は前半をご覧ください。)

新建材の普及で、昔ながらの技術を持った左官職人が少なくなってきていることも問題です。

地球環境にも優しい素材である漆喰を残していきたいものです。

【後編】漆喰の話_e0264942_20044718.jpg
文・写真:松山千晶 / 一級建築士事務所 ゆくり設計室


by jogikai | 2021-08-15 08:00 | 素材・仕上材 | Trackback | Comments(0)  

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