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機能を組み入れ双方を一体的に見せる方法に、ビルトインというスタイル(様式)があります。キッチンまわりではシステムキッチンの普及とともにレンジ、食器洗い機、冷蔵庫、浄水器等のビルトイン化が進みました。
食器洗い機は収納部と同素材の化粧パネルを装着することで一体化を強めることができます。下の写真のどこに食器洗い機が潜んでいるでしょう? 右端の引き出し収納の左隣にありますね。

応じてサニタリーでも洗濯乾燥機を洗面台にビルトインするシステムが作られました。

ビルトイン様式は、几帳面な気質で狭さを工夫で補うことに長けている日本人の住まい方に合うのでしょうか、古くから様々な暮らしのシーンに登場しています。
例えば、階段に収納機能をビルトインした箱階段【写真3】、仏壇をビルトインした壁面収納【写真4】、茶室の炉もフラットな畳空間に湯沸し機能をビルトインしたものと言えるでしょう【写真5】。
さて、このビルトイン様式は、空間がスッキリとしスペースを有効に活かすことができるというメリットがある一方で、自在性に乏しく、設備機器が壊れた際に新機種の規格寸法が変更されていたら収まらない、製造を中止されてしまったら対応できないというデメリットもあります。
冷蔵庫は、食器洗い機のように化粧パネルを施して一体化を図る時期もありましたが、技術開発が進行形であるため規格寸法や扉デザインの変更が多く、現在キッチンレイアウト上ビルトインの枠から私は外しています。
また、ビルトイン型洗濯乾燥機は既に国内生産がなされていませんので、既設品が壊れてしまった場合の代替えは高価な海外輸入品となってしまい、メンテナンス費も高額となってしまうことがありますので、積極的に採用しづらいところがあります。
汚れ落ちの良さを謳った大型ドラム洗濯機の登場とともに小型ドラムとなったビルトイン式洗濯機は人気がなくなっていったように感じていますが、世の中汚しん坊のご家庭ばかりではありませんし、コインランドリーが復活してきていますので、ビルトイン式の需要は十分あると思います。ぜひ、国産のビルトイン式洗濯機を復活させてほしいものです。
こちらは、お水の交換がしやすい高さにとのご要望でキッチン内に設けた神棚です。素材の統一を図りませんでしたが、これもビルトイン的発想と言えますでしょうか。
使い勝手の良いスッキリとした空間づくりにとって、「ビルトイン」というスタイルは大変頼もしい存在です。
by jogikai
| 2022-04-15 08:00
| 住宅設計
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