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隣家に遠慮せず、窓からの眺めを楽しむ工夫

首都圏郊外に整然と並ぶ一戸建の住宅団地の中にあるお宅。南面道路なので、どの家も南庭を広くとり、東、西、北は敷地ぎりぎりまで建っています。このお宅は珍しく、敷地の北側にゆとりのある建て方でしたが、窓を開けるとすぐ先に隣家の窓が見えるので、風を通すためにほんの少し開けるくらいで、南面以外の窓を大きく開けることはないとの事でした。

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北側のキッチンの外にはきれいな植栽もあり、キッチンからこの緑を眺められたら楽しいのにと残念に思いました。キッチンを眺めの良い南側に移動することもできますが、間取りや予算の都合もあり、このお宅では北側のまま位置は変えず、明るく楽しいキッチンにする工夫を考えることになりました。そこで、余裕のある北庭へ三角形に突き出す形で増築し、斜めの壁に大きな窓を作りました。隣家の視線とぶつからないのでカーテンを開けて窓の外の眺めを楽しむことができます。

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キッチンを三角形に張り出したことで生まれた、屋外の台形スペースに屋根をかけて、既存の物置を移動したら、囲まれた落ち着いた雰囲気の半戸外空間ができました。照明もつけたので、雨の日も夜間も気軽に外に出られるようになり、快適に利用されています。


細長くて少々さびしい雰囲気だったトイレは、階段下の空間を取込んでわずかですが広々とさせ、出窓形式の手洗い器を設けました。この向きなら窓を開けても隣家の視線にぶつからないので、北庭のグリーンを楽しめるようになりました。今まであったことを忘れていた紫陽花が、この窓からよく見えるようになり、花の咲く季節が楽しみになったそうです。

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文・写真: 西岡麻里子  一級建築士  アトリエ楽

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。
 女技会のホームページは→コチラ





by jogikai | 2022-06-15 08:00 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)  

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