建築に組み込まれる造作<キッチン>
2022年 09月 01日
建築に組み込まれる造作には大工が造るものと各専門の技術を持った職方(家具職人・建具職人)が造るものとがあります。それらの事例をあげてご紹介します。
【大工による造作が主として行われた現場】
大工工事では、壁の下地工事と一体で行うことができますのでしっかりと壁面に固定できます。工事中の写真にあるステンレスの天板やシンクは専門の職人に工場で製作していただいたものですが、棚や内部の箱や引き出し、米櫃に至るまで大工による造作です。
扉や引き出しの前板は建具職人が工場で製作したものを取り付けました。
設置する予定の場所にぴったりと納まり、建物と一体感があるのがメリット。リフォームの場合は壁も壊すことになるのがデメリットですが、長い目で見て15年~20年で配管などの交換時期と併せてリフォームができると良いと思います。
【家具職人による造作が主として行われた現場】
家具工事では、工場で箱型に製作したものをパーツごとに搬入します。
搬入時点で壁下地のボードや床は仕上がっていますので下地の補強や配管の穴は事前に施工しておきます。どうしても建築現場では壁仕上がり面の寸法に誤差が出ますので、部屋の大きさがわかるようになってから、家具詳細図を基に設置寸法を現場で測ります。その寸法に合わせた引き出しの納まり、家具自体の大きさを調整して製作にとりかかります。家具図面は設置寸法にゆとりを持たせた計画が大切になります。
大工工事が無垢材や集成材の板を使用するに比べ家具工事では、扉や側面、棚、背面に様々な仕上材を貼ることができます。素材は突板やポリ、メラミン、シートなどがあります。材自体の乾燥収縮などの狂いも少なく、引き出しや扉に特殊な金具を使用できることなどもメリット。リフォームの際は壁面を壊さなくとも可能な場合があります。
ただし、当初の設計計画通りの寸法に納まらない場合があるので、工事着手後の採寸は必ず必要です。
アトリエきらら一級建築士事務所 小林輝子/一級建築士
女性が主体的に運営する任意団体です。
by jogikai | 2022-09-01 07:00 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)