手摺の役割
2022年 10月 01日
脚力が落ちてはじめて身に染みる日常生活の不便さ。
それが現実のことになり、階段や手すりについて考える機会になりました。
足首を捻ってしまい、救急病院で右足首の外果骨折だということがわかりました。
車の運転どころか日常生活にも支障がありました。右足首なので左足で体を支えることが難しく、自宅の玄関アプローチまでの石敷の階段を15段上がることも一苦労。
蹴上(段差)が15cm以下であることが救いで手摺を伝いながら松葉杖で体を支え、なんとか自力で上がりました。ですが勾配なりに取付けている手摺では体を支えるだけの力が入りませんでした。
玄関土間から玄関ホールの床の高さが28cm。この高さは腰を下ろすことが難しい。ベンチや手摺があれば、腰掛けて靴を脱ぐという動作がスムーズに行えたと思います。
トイレのL字型手摺。水平部分があることで
全体重をかけ立ち上がることができる。
敷居の2cm程度の段差は松葉杖で歩くには障害はなく、リビングや階段、洗面や浴室など腰を下ろしたり、立ったり座ったりの動作をする場所に不便を感じました。
20年前、トイレや浴室をリフォームした際に足の悪い祖母の為にL型の手摺を取り付けたのですが、今回このようなことになって手摺のありがたさを感じました。
介護施設での経験はありましたが、実際に経験しなければわからなかったことがたくさんありました。手摺は上から体重を支えられるよう、水平に取り付けるのが良さそうです。垂直に取り付ける手摺は座るなどの体制を変えるときに役に立ちます。
寝室から洗面、ユーテリティ、浴室まで生活動線はフラットに
手摺を各所に設置
今回、2か月間は歩行ができないという不便な生活を送ることになりましたが、公共施設や交通機関、住まいのなかでも不自由な方の気持ちが少しでも感じ取ることができたと思い、そこで得た体験を元に実際の設計に役立てたいと思いました。
小林 輝子 一級建築士/アトリエきらら一級建築士事務所
女性が主体的に運営する任意団体です。
by jogikai | 2022-10-01 08:00 | リフォーム | Trackback | Comments(0)