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可変間仕切りとしての引戸

我が家の話です。二世帯住宅なので2階にキッチンもユニットバスも設置し、2階のみで生活しております。ダイニングキッチンは6帖、リビングは4.5帖という狭さ。ダイニングとリビングの境目は、米松柾目の突板で造った3枚引戸で仕切っています。

※米松柾目(べいまつまさめ:北米原産の針葉樹素材で直線的な木目の材)

※突板(つきいた:天然木を薄くスライスした「つき板」とラワン合板を貼り合わせた高級化粧用合板)

この3枚引戸の上部には、思い切って梁せいが300㎜を超える立派な地松の化粧梁を採用しました。地松というのは、国産の松の木で、今ではなかなか手に入らない珍しいものだと、大工さんが話してくれました。この化粧梁をなるべく見せたいのと、枠材などをごてごて付けるよりシンプルに仕上げたかったので、梁の下部に直接建具の溝を彫り、差鴨居風にしました。

※差鴨居(さしがもい:両脇の柱と柱に梁をほぞ差しでつなぎ、梁の下端に溝を彫り建具のレールの役割をしている、古民家などによく見られる構法)


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写真1)3枚引戸と地松の差鴨居


敷居には、アルミ製のV型埋込みレールを使用していましたが、生活している間に、足をのせた時の冷たさが気になり、途中で竹製の埋込みレールに取替えました。

※敷居(しきい:建具を立て込むために開口部の下部に取り付ける、溝やレールがついた水平材。上部に取り付ける鴨居と対になっている)


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写真2)アルミ製のV型レールを竹製レールへ取替えている工事の途中に撮影。
写真左側の茶色い1本のレールはまだアルミ製のもの。
写真右側の3本のレールはすでに竹製に取り替えた後。
ちなみに床材は、写真左側の寝室がカーペット、中央のダイニングキッチンはコルクタイル、右側リビングが和紙の畳。


この狭さなので、ダイニングテーブルに着座したままリビングのテレビを観ることもしばしば。普段は、家族の過ごし方や空調の関係から、3枚引戸を取り外して、LDKを一体で使用しています。

しかし、家族がリビングでテレビを観ている間に、私がダイニングでオンライン会議をする時は、音の問題から3枚引戸を使用して、ダイニングを書斎的に利用します。

また、友人が泊まりに来た時は、客間のない我が家ですから、リビング(畳)に布団を敷いて宿泊してもらいます。その時も3枚引戸は大活躍。リビングが客間に大変身です。戸で閉めることで、落ち着き感は全然違うと思います。

引戸を開け閉めすることで、部屋を可変的に使用でき、また、取り外せるのでとても便利。引戸は、先人の知恵、日本ならではの工夫だなと改めて実感しています


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写真33枚引戸を閉めたところ


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写真4)敷居のレールを線路に見立てて遊ぶ息子


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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。
 女技会のホームページは→コチラ



by jogikai | 2022-12-15 08:00 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)  

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