オープン棚のように使える、引戸の吊戸棚
2023年 07月 15日
吊戸棚をどうつくるか、迷うことが多いです。食器庫や食品庫を設ける場所があるなら、ない方がスッキリするようにも思います。でも他にスペースがとれない時は、吊戸棚の収納力は大きく、捨てがたいです。
でもオープンな棚では中身が丸見えになることに抵抗を感じたり、油ホコリが気になる方もいます。あまりモノが入らない気もします。吊戸棚は作り方によって作業を楽しくも不便にもする、キッチンの大事な要素では、と思います。使いやすい吊戸棚へのさまざまな要望を満たそうと試みた例をご紹介します。
写真のお宅は、キッチンが居間から正面に見える位置にあります。作業中はオープン棚として便利に使いたいけれど、キッチンで作業していない時は、多少とも生活感を隠したいと思いました。そこで開け閉めが自在な引戸の吊戸棚にしました。壁の幅いっぱいのスペースのうち、3分の2が引戸付きの吊戸棚、3分の1はオープン棚になっています。よく使う食器はほぼ全て、この棚に収まっています。引戸の2本のレールは棚の間口いっぱいについていて、どの位置に引戸を止めてもOKなようにできています。使いやすいように吊戸棚は低めの位置にし、流しでの作業中、頭がぶつからないように奥行きを少なくしています。
作業中は両脇に2枚づつ引戸を寄せ、中央を全開にして、出し入れがストレスなくできるようにしました。
引戸には精度の高い家具用の部品は使わず、一般的な室内引戸用のVレール(※)と鴨居の組み合わせでコストを抑えています。Vレール2本に引き違いの4枚の引戸がついています。これで十分、快適に動きます。
このお宅は特注のキッチンですが、既製品のシステムキッチンに組み合わせて、引戸の吊戸棚だけ現場制作で作るのも、おすすめです。
※Vレール
部屋の引戸に使うレールの一種。床にレールを彫り込むので、床上にレールが出っ張らない。
引戸の下面には戸車がついていて、レールの溝を走る。レールの断面はV字型をしている。
文・写真:西岡麻里子 / アトリエ楽一級建築士事務所
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by jogikai | 2023-07-15 21:56 | 出す・しまう | Trackback | Comments(0)