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「日本建築を訪ねる旅」~断崖絶壁に建つ国宝・三徳山三佛寺奥院投入堂~

コロナ禍で外出を控えていた分、沈静化したら日本建築を訪ねる旅を再開することを待ち望んでいました。同時に今まで見た素敵な建築の整理も進めていたので、先ずは三徳山三佛寺(みとくさん さんぶつじ)奥院投入堂(おくのいん なげいれどう)を紹介します。

鳥取県東伯郡三朝町(みささちょう)にある三徳山三佛寺(標高900M)、古くは山全体を境内とする天台宗の山岳寺院であり、修験者の修行の場として存在していました。投入堂はその中腹約470Mの垂直に切り立った断崖の窪みに建っています。そこに至るまでの行者道には「文殊堂」を始めとする懸造りのお堂が点在しています。
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写真1 , 2:「文殊堂」 重要文化財 室町時代後期建立 内部は通常非公開 懸造りで右回り
縁台を廻れるが、手摺もない縁台の幅は60センチほど。恐怖で足がすくむ

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写真3:「観音堂」 県の保護文化財 江戸時代後期、鳥取藩主池田光仲によって再建。
建物に沿って右に回り込むと「胎内くぐり」と呼ばれる暗くて狭い通路があり
左側に出られる。ここでやっと「→投入れ堂」と書かれた小さな案内板が見えた。


とんでもない急傾斜の行者道を登り、辿りついた投入堂は常識では考えられない地形に建っていました。然も軽やかで静謐な優美さに満ちた美しさ。驚きました。細身の角材で構成された懸造りのお堂がまるで自重はないかのように絶壁の窪みに吸い寄せられています。それは美しい蝶々が羽根を休めているようなのです。各柱は岩盤の上に直接立てられ其々、一本の通し柱になっています。床下に伸びる柱と柱の間は水平材の貫(ぬき)ではなく、斜めの筋違(すじかい)で繋いであるなど私には構造的に謎の部分もありました。

平成13年(2001年)奈良文化財研究所が行った年輪年代測定によると投入堂は平安時代後期(10861184年)に建立されたと記録されています

註:鳥取県公式サイト(とりネット)に依る

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  写真4:「投入れ堂」 観音堂を経て行者道を登りきると突然、目の前がひらける。
足場の悪い急斜面の背面に投入れ堂を斜め上側に見上げる。
参拝者は右下の黒い手摺のあたりまでしか近づくことができない。


写真家の土門拳は何度も訪れ、晩年は弟子達に担ぎ上げられて撮影したと伝えられています。それでも『日本第一の建築は?と問われたら三佛寺投入堂をあげるに躊躇しないであろう。』と語ったと云うことです

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写真5:「投入れ堂」北面全景


写真撮影:(有)高橋建築工房 高橋政則 
文:鈴木久子 一級建築士事務所 鈴木久子建築設計室

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。

 女技会のホームページは→コチラ


by jogikai | 2023-09-01 08:00 | 歴史的建築物 | Trackback | Comments(0)  

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