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組子細工を建具に

木工の伝統技術である組子細工。
細かなパーツを組み合わせて多彩な文様を作り出します。

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高度な技とセンスが求められる組子細工は、建具職人さんにとって一度は取り組んでみたい、究極の建具仕事のひとつです。

住まいに座敷がなくなった現代では用いられることは稀ですが、まだまだ各地でその技術が受け継がれているようです。
店舗や宿泊施設、公共の建物などで見かけるようになってきました。

設計した住まいで、二本の建具に取り入れる機会を得ました。

この住まいでは若い建て主さん夫婦が組子細工に興味を持ち、職人さんの指導の下、建具に嵌める組子パネルを自分たちで組み上げました。

それができたのは、組子を構成する一つ一つの部材の精度が高いゆえ。
職人さん曰く組子細工で重要なのは、素性の良い特別な木材を使って、バラツキの無い完璧な形のパーツに加工することなのだそうです。そのパーツを膨大な量使って組み上げるのが組子です。

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組子の部材 専用の刃物を使い加工する

文様は、「桜」と「麻の葉」を市松に配置することに。
スタンダードな「麻の葉」の中心に部材を追加して花に見立てたのが「桜」です。

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建主さん夫妻が組み上げた組子パネル


居間から洗面所に入る引戸が、建て主夫妻作の組子パネルを配したデザイン。
杉の柾目板の鏡板上に組子納めた框戸です。
60cm×30cmほどの大きさのパネルですが、組み上げるのに数日を要したとのこと。
上品な戸に仕上がり、愛着はひとしおだと思います。

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一部使いでも存在感を放つ組子

玄関から居間に入る引戸は完全に職人さんの手によるもの。
全体が千本格子で、その一部が組子になっているデザインです。
組子の縦材がそのまま延長され縦格子になっているつくりで、高い技術が発揮されています。
組子・格子部分は桧材、框は杉の赤味柾目材です。

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繊細な千本格子の中の、目線高さに組子。
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逆光で見ると、レース織物にも見える透け感が美しい。


2本の美しい建具が空間の質を上げて、住み手の好みも表す存在になりました。

文・写真 勝見紀子/株式会社アトリエ・ヌック建築事務所


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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。
 女技会のホームページは→コチラ




by jogikai | 2024-07-15 08:00 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)

 

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