建築材料としての石の魅力
2024年 09月 15日
角川武蔵野ミユージアム 2020年 隈研吾設計 花崗岩約20,000枚を使用 *HPより
建築材料のひとつに石材があります。石材には様々な種類があり、外壁や室内の壁や床に使用されています。天然石を用いた建築には本物の持つ高級感や重厚感があり、魅力的です。
建築材料学資料 *筆者作成
建築材料として最も多用されている石材は、花崗岩です。花崗岩は、地球の深い地殻内のマグマが冷えて固化した深成岩で、日本国内の様々な地域に見られます。吸水性が低く、耐久性、耐摩耗性に優れているため、最も汎用性の高い材料といえます。
なかでも茨城県笠間市稲田地区で採掘される花崗岩は「稲田石」と呼ばれ、日本を代表する数々の近代建築に用いられています。
最高裁判所 1974年 岡田信一設計 外壁は花崗岩:茨城県産稲田石を使用 *筆者撮影
栃木県宇都宮市大谷町で採掘される凝灰岩は大谷石と呼ばれていますが、耐火性に優れ、柔らかく加工しやすいのが特徴です。来日したアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが旧帝国ホテルをはじめとした建築作品に多用し、ライトの弟子にも引き継がれました。
葉山加地邸(旧加地利夫葉山別邸)1928年 遠藤新設計 外壁一部は栃木県産大谷石 *筆者撮影
現在大谷町では、地下に遺る巨大な採掘場跡が大谷資料館として公開されており、人気の観光施設となっています。
このように天然素材である石材は、海外からの輸入品だけでなく、国内各地を産地としたものがあります。ひとつの建築材料として、あらためて考えてみてはいかがでしょうか?
文:杉山経子 博士(工学)建築歴史・意匠 杉山経子建築+デザイン研究室
by jogikai | 2024-09-15 08:00 | 素材・仕上材 | Trackback | Comments(0)