最近の夏の暑さに思うこと
2025年 10月 01日
「今まで経験したことのない」という前置きが付く異常気象が頻発して、「今まで経験したことのない」や「命の危険」という言葉も耳慣れてしまいました。
近年では春の喜びや秋の気配を味わう時期がぐっと減り、5月から続く長〜〜い夏に加えて、「今まで経験したことのない」熱波や酷暑、ゲリラ豪雨や線状降水帯、竜巻や干ばつ、そして冬の豪雪と、異常気象の上書き続きです。これからも異常気象は常態化するか放物線状にエスカレートするのでしょう。
建築には、断熱気密と遮熱、そしてエアコンも必須で、節電はもはや「命に関わる」からと状況による判断が叫ばれるようになってきました。その上、耐震や防犯、災害対応も必要で益々重装備が求められますが、資材や職人不足、働き方改革に加えて暑さで作業時間も制限されて工期が延び、工事価格は高騰し続ける。。
ホントに悩ましい時代です。
ただ、ワードローブは半袖にダウンで事足りるようにシンプルに暮らせるようになりました(笑)味気ないけど。。食生活も手に入りやすいモノが変化して、献立も変わっていくのかもしれませんね。
そこで、これからの住まいや暮らし方についてですが。。
乾燥地帯の洞窟住居のように設えたり地下に潜るかして調湿の効く土や漆喰の塊の中に身を置くか。はたまた、森のような木々と水辺に身を置くか、それらを新たな環境として作り出すか。それとも、標高で気温を稼いで屋根付きのテラスや深い濡れ縁、パーゴラなどで日陰を作るか。。など。
我々設計者としては、数値で示す環境対策だけでなく、建築本来の意義である居心地や新たな過ごし方といった暮らしの広がりも考慮した対策の提案が必要になっている気がしています。

写真1)イタリア、プロチダ島の住宅。
日陰と調湿性のある漆喰塗りで暑さ
(金野千恵著『ロッジア』より)

写真2)オーストラリア、ブリスベンの古い住宅街。
木々に囲まれた屋根付きのヴェランダ。
外部で過ごせる風が通る日
(金野千恵著『ロッジア』より)
文・写真:木村真理子一級建築士 / 木村建築研究室
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by jogikai | 2025-10-01 08:00 | 暖かく・涼しく | Trackback | Comments(0)

