函館の和洋折衷住宅
2026年 01月 15日
先日、函館を訪問して、街歩きをしました。
その際、函館独特の和洋折衷建築住宅をたくさん見ましたので紹介したいと思います。
まず、「和洋折衷住宅」ですが、明治初期開国後、西洋文化・建築が流入。官庁・軍事施設・外交関連の建物に西洋建築が導入されましたが、一般の住宅は依然として和風でした。
上流階級や知識人の間で「西洋館」や「洋間(客室用の応接室)」が取り入れられました。
多くの場合、日常生活は和式、客人の応対やハイカラな生活演出には洋式、という二重生活のかたちでした。
それらの部屋は平面的に構成されていますが、函館の場合は立体的なのです。
つまり、1 階は和式、2階は洋式と言う「上下和洋折衷様式」なのです。

写真 1) 末広町にはたくさんの和洋折衷住宅が並んでいます。
何故、こんな形になったのかは諸説あります。港から見ると洋館の印象を与える工夫としての「上下和洋折衷様式」です。
函館は函館山の中腹に旧市街地が広がり、港の船から住宅がひな壇のように望めます。函館山の夜景は有名ですが、わたしは港付近から函館山を見上げる風景が大好きです。
その場合、山腹の住宅の2階の洋式部分がシアトルの丘の住宅のように見えるのです。
そして、1階の和室は今までの生活習慣を続けることが出来た。2階は外国人との交流で洋風の応接空間が必要だった。基礎部分や1階は日本の大工の技術で施工されていた。
といった要因が組み合わさった結果だといいます。
私が見学した2棟の住宅を紹介したいと思います。
一つ目は、「いろは雑貨店」(函館市末広町14-2)

明治 41 年に海産問屋として建てられた趣ある建物で営む和雑貨店。
1 階が簓子(ささらこ)下見板張りで格子窓の和風建築、2 階が南京下見板張り、縦長上げ下げ窓、軒蛇腹の洋風建築になっていて、函館らしい和洋折衷な建物です。
店内も明治のままの天井や古い電気配線などが見られ、雑貨を見ながら建物のよさも感じられます。1980年代にオーナーが昔の建築様式に修復し、1階部分を雑貨店(古本店)として利用しています。4 面すべてが和洋折衷という希少な構造です。
もう一つは、真壁家住宅店舗「手作りソフト大三坂」( 函館市元町17 - 9)
明治 41(1908)建築で、1 階は簓子(ささらこ)下見板張と格子の入った引き戸や出窓の和風、2 階は縦長窓が四つ並ぶ洋風で、和洋折衷様式の建物です。

写真 3) 真壁家住宅店舗(手作りソフト大三坂)
元は漁業関連会社の社宅だった町家で、現在は向かって右横の出窓を利用したソフトクリームショップの店舗として利用されています。両側に明治・大正時代の建物が並ぶ、石畳の情感あふれる大三坂を上っていくと、右手にある元町カトリック教会があります。
その反対側にあるグリーンの下見張りの側面に小さなソフトクリームの販売窓口だけがある建物です。
建物も素敵ですが、駒ヶ岳牛乳を利用したソフトクリームは無添加で、坂道から港を見晴らす場所で食べるソフトクリームはお勧めです。
文・写真:山本典子 / 一級建築士
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by jogikai | 2026-01-15 08:00 | 散歩・旅行 | Trackback | Comments(0)

