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世界一周旅の途中で見た素敵な建築~スペイン出身サンティアゴ・カラトラバの骨建築~

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写真1 ミルウォキー美術館 写真提供:カラトラバ設計事務所 (写真の商業利用不可)

カラトラバ1951年生まれ、スペイン出身ですが、特徴的な建造物は世界中にあります。
どの作品を見ても、一目で これは「カラトラバだ。」と分かってしまうのです。
最初に見たのはアメリカ・ウイスコンシン州ミルウオ―キー市の美術館でした。

ミルウオ―キーはシカゴからバスで1時間、ミシガン湖に面したビール醸造でも有名な都市です。
ミルウオ―キーは娘の留学先で、学生生活が心配で夫と共に訪ねたのですが、そのついでに2001年に出来たばかりの美術館を見学したのです。
美術館はミシガン湖の湖畔に、白鳥のように白い羽を広げるデザインです。
美術館の中から眺めるミシガン湖も美しく、建築当時は大胆過ぎるとの評判でしたが現在ではアメリカが誇る美術館建築の一つになっています。


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写真2 ミルウオキー美術館 エントランスホール 写真提供: カラトラバ設計事務所 (写真の商業利用不可)美術館のホームページhttps://mam.org/

カラトラバは構造家であり建築家でもあるので、作品はむき出しの構造を見せる建築物が多いのです。ですから、魚や動物の骨格に似ているので私は勝手に「骨建築」と呼んでいます。
彼の作品は構造的には美しいけれど、時には社会インフラのデザインの根本を無視している作品もあります。

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写真3 イタリア・ベネチア カラトラバ橋 (写真提供:ウィキペディア)

イタリア/ベネチアのバスターミナルと鉄道駅を結ぶ橋は「カラトラバ橋」と呼ばれるアーチ橋で長さ94 メートルあり、2006年に作られました。
この橋の透明ガラスの踏面は滑りやすく、下を通る船からスカートの中が丸見え、その上バリアフリーではなく、車いすでは渡ることが出来ない。という欠点があります。

2020年ガラス床を石に交換することにしました。ガラスの床は壊れやすく、事故が多発したのです。これには、利用者も責任があり、人だけでなく商用荷物カートの使用により、ガラスが割れました。 その上修繕に利用したガラスは以前のガラスより強度が無く、また事故を引きおこすことになったのです。橋自体はデザイン的に愛されているので、形を生かしたまま踏面を変更する処置がとられるのです。福岡大学工学部社会デザイン工学科HPより

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写真4 ポルトガル・リスボン ジェロニモス修道院 内部天井 (山本撮影)

2018年世界一周の途中、ポルトガルの首都リスボン郊外ベレンで世界遺産のジェローニモス修道院を見学しました。
この16世紀のゴシック様式の建物には、コウモリ天井があり、この天井からカラトラバがオリエンテ駅のインスピレーションを得たと考えられます。

オリエンテ駅は1998年に開催されたリスボン国際博覧会(リスボン万博)の会場の際作られた駅で、長距離列車や地下鉄が乗り入れています。現代の建築材料が、ゴシックの天井のデザインを軽快な鉄道ホームの屋根のデザインに変えたのです。

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写真5 ポルトガル・リスボン オリエンテ駅ホーム (山本撮影)

文・写真 山本典子/一級建築士

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。

 女技会のホームページは→コチラ



# by jogikai | 2023-08-15 22:17 | 散歩・旅行 | Trackback | Comments(0)  

リビングから続くウッドデッキ

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築29年の小さな家の小さな庭です。
梅を干したり、ハーブを採ったり、焼肉をしたり・・・。
LDKの延長です。
段差がないので、ウッドデッキ先の紫蘇やローズマリー、山椒など気軽に採りに出られます。


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竣工数年後にウッドデッキを設ける


ウッドデッキ3回目の張替えを自力で昨年、行いました。
デッキ板の張る方向はダイニングのフローリングと同一方向が、繋がりが強調されます。
当初はそうでしたが、2度目からは、ウッドデッキの板方向は横に貼り替えました。
板の枚数が少なくて済み、経済的だからです。
板は、桧(9㎝弱×4㎝弱)。
テラス窓は、開口幅=1・2m強の折れ戸です。
2012年耐震リフォーム時、壁量が必要で、当初の開口幅1間を縮めたのでした。


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6坪にも満たない小さな庭―回りが建物に囲われているのに、結構、木は育ちます。
月桂樹、モクレン、ムクゲなど。ユズリハは、2階の屋根の高さまで大きくなりました。
キッチンや仕事場の窓越しに緑が見られ、季節の移り変わり、時間の流れを感じています。

加部設計一級建築士事務所 加部千賀子/一級建築士

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。

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# by jogikai | 2023-08-01 09:35 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)  

オープン棚のように使える、引戸の吊戸棚

吊戸棚をどうつくるか、迷うことが多いです。食器庫や食品庫を設ける場所があるなら、ない方がスッキリするようにも思います。でも他にスペースがとれない時は、吊戸棚の収納力は大きく、捨てがたいです。

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写真1)調理中や片付けの時は引戸を両側に寄せて中央をオープン棚のように使います。

吊戸棚は低い位置にあると出し入れしやすく、使いやすいのですが、開き戸を開け閉めするのが面倒なので、つい開けたまま料理を作っていると、頭をゴツンとなり、なかなか邪魔なものであります。かといって高めに取り付けると手が届かず、何を入れたか中身を忘れがちになります。結局、板をわたしただけのシンプルなオープン棚を、大工さんに作ってもらうのがコストもかからず使い勝手が良い、となります。

でもオープンな棚では中身が丸見えになることに抵抗を感じたり、油ホコリが気になる方もいます。あまりモノが入らない気もします。吊戸棚は作り方によって作業を楽しくも不便にもする、キッチンの大事な要素では、と思います。使いやすい吊戸棚へのさまざまな要望を満たそうと試みた例をご紹介します。 

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写真2)戸棚とオープン棚の配置はこんな感じです。左側に引戸2枚分のオープン棚があります 

写真のお宅は、キッチンが居間から正面に見える位置にあります。作業中はオープン棚として便利に使いたいけれど、キッチンで作業していない時は、多少とも生活感を隠したいと思いました。そこで開け閉めが自在な引戸の吊戸棚にしました。壁の幅いっぱいのスペースのうち、3分の2が引戸付きの吊戸棚、3分の1はオープン棚になっています。よく使う食器はほぼ全て、この棚に収まっています。引戸の2本のレールは棚の間口いっぱいについていて、どの位置に引戸を止めてもOKなようにできています。使いやすいように吊戸棚は低めの位置にし、流しでの作業中、頭がぶつからないように奥行きを少なくしています。

作業中は両脇に2枚づつ引戸を寄せ、中央を全開にして、出し入れがストレスなくできるようにしました。

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写真3)キッチンで作業していないときは引戸を閉めています。 


引戸には精度の高い家具用の部品は使わず、一般的な室内引戸用のVレール()と鴨居の組み合わせでコストを抑えています。Vレール2本に引き違いの4枚の引戸がついています。これで十分、快適に動きます。

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写真4)(左)冷蔵庫側の脇の奥まったスペースは水切りかご置き場。
     ()右奥は調理中は閉めて油汚れを防ぎます。


このお宅は特注のキッチンですが、既製品のシステムキッチンに組み合わせて、引戸の吊戸棚だけ現場制作で作るのも、おすすめです。

Vレール
部屋の引戸に使うレールの一種。床にレールを彫り込むので、床上にレールが出っ張らない。
引戸の下面には戸車がついていて、レールの溝を走る。レールの断面はV字型をしている。

文・写真:西岡麻里子 / アトリエ楽一級建築士事務所

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。

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# by jogikai | 2023-07-15 21:56 | 出す・しまう | Trackback | Comments(0)