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散歩・地域の宝

私の街は新座市の北の端で、半径2、5キロぐらいで志木市、所沢市、清瀬市、三芳町、富士見市につながります。その範囲でさまざまな「宝」を探そうと私たちは散歩を続けています。

この地で生活をしながら設計の仕事をして50年。家づくりを通じておつきあいがはじまり今では皆高齢者になりました。
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清瀬市の金山公園で日向ぼっこしながら我らを待っています。

また長年社会福祉に熱心な人たちと「障害があっても高齢者になっても、地域で共に暮らし、共につくる地域社会」をめざして活動しています。障害のある人が歩きやすい道の点検をしている中で、街をもっとよく見てみようと「散歩」が始まりました。車椅子の試乗体験も全員しています。参加者15人ぐらいで月2回、テーマを決めての散歩はもう2年以上続いています。    

ほとんど高齢者で車椅子の人や杖を利用している人もいて、歩みはゆっくりですがおしゃべりをしながらの散歩は、体力作りになり地域を深く知るきっかけになりました。

農家の野菜直売所には必ず立ち寄り、ネギや大根などを背負って帰ってきます。歩数は13000歩~8000歩ぐらい。お休み所でトイレ休憩とコーヒータイム。


見慣れた風景も記録が残されています。

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柳瀬川のかっぱ

200年前の「女人講」のお堂は女性同士が集まる信仰の場で、安産祈願をしたり日常生活の情報交換の場で、講では月の出を待って拝み集う信仰が盛んでした。

馬頭観音には「鬼鹿毛伝説」が残っています。

江戸時代に秩父の小栗という人が愛馬「鬼鹿毛」に乗って道を急ぎ、大和田宿で馬に疲れが出て、松の木の根につまずき倒れました。しかし直ちに起き上がり主人を目的地まで届けたのですが、所用を終えた主人が鬼鹿毛を探しますが姿が見えません。帰路大和田宿まで戻ると、鬼鹿毛が死んでいました。主人の急を知り、霊となって走り続けたという伝説です。競馬関係の人たちがお詣りに来ているという話も聞いています。

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普光明寺の山門   源頼家が奉納したと言われている秘仏「千体地蔵尊」は
33年ごとに開帳されます。次は2025年の4月

やはり大和田にある普光明寺は、死者を埋葬する墓地と別の場所に墓を建てる両墓制でした。この風習が江戸時代初頭からあり、境内にある墓地には墓などの石塔を建て、集落から比較的離れた所に死者を埋葬していました。

火葬により消えつつある民俗風習のひとつです。

 

面白いものを見つけると声をかけ合います。かっぱがいたり、蛇がいたり、美味しいものに出会えたり、源頼家や芭蕉も子育て地蔵もそこにいます。

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新河岸川と柳瀬川合流に住んでいるかっぱ


参加している人には

寿司屋のおかみさんは、出前もしていたので知らない道はないほど。

団子やのおばさんは、1日に2000個ものおにぎりを握っていました。

肉屋の夫婦のコロッケは、学校給食の人気メニューでした。

看護師さんや学校の先生だった人もいます。時には夜話で参加者の一人がゲストスピーカーになって、生い立ちや経験などを話されると、一斉に時代が戻り、同郷だったりすると一段と親しみも増します。今やみんな心強い仲間になりました。


文・写真 新見美枝子  新見建築設計室

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。

 女技会のホームページは→コチラ

# by jogikai | 2023-07-01 08:00 | まちづくり(地域育て人育て) | Trackback | Comments(0)  

建具で間仕切り

隣り合う部屋を一体につなげて使ったり、大きな空間を区切って使えると、利便性が高く、暮らしに色どりも生まれます。
建具を用いて間仕切りした事例をご紹介します。

写真奥が食堂、手前がリビングの間取り。
夫婦二人住まいで日中は開放的に暮らしていますが、夜は食事が済めば間仕切りを閉めて、リビングで過ごすことが多いそうです。妻の友人たちが訪れる際は建具を閉じて、リビングの夫に気兼ねなく食堂でおしゃべりでき、具合がよいとのこと。
間仕切りは、障子紙風シートを貼った格子の2連折れ戸で、解放時は脇の壁に収納されます。

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写真1)建具を開けたところ

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写真2)建具を閉めたところ


リビングと隣り合う小上がりの畳の間。
家族皆が在宅の時は、リビングのソファでテレビを見る人、堀炬燵でパソコン作業をする人、食卓と小上がりに腰かけて話す二人、そんな過ごし方が多いそうですがそれはたまにとのこと。普段は誰かがひとりでいることが多いとのことで、そんな時は間仕切りを閉めてコンパクトに過ごしています。
建具は広幅の障子が2枚で、押入の方向に引き込まれます。

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写真3)建具を開けたところ
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写真4)建具を閉めたところ


コンパクトな住まいで、畳敷きの居間と板張りの食堂が隣り合っています。
畳敷きは、小さな子供が遊ぶにも安全で、ストレッチなど体操をするのにも向き、布団を敷けば寝室にもなるという、融通の利く空間です。

普段はキッチンからも目が届くよう開け放して生活されています。遠方の両親が宿泊する際や、来客を迎え食堂やキッチンのプライベート空間を隠したいときに、間仕切りの戸襖が活躍します。
戸襖はコーナーに配してあり、玄関から直接畳の間に入れる間取りとしています。

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写真5)建具を開けたところ

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写真6)建具を閉めたところ

リフォームで、寝室と書斎の間の壁を取り払い、部屋をつなげた事例です。細かめの縦格子の建具は、緩く視線を遮るだけで、音や匂いや温度環境を分ける性能を持ちません。ただ、夫婦で隣り合う空間にいながら気配を感じていられること、繊細な格子の佇まいをインテリアデザインとして楽しみたいということで、このようなスタイルを採用しました。

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写真7)建具を閉めたところ
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写真8)建具を開けたところ

写真撮影者:渡辺慎一、他 執筆者:勝見紀子

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
建築に関連する様々な仕事を持つ女性が主体的に運営する任意団体です。
 女技会のホームページは→コチラ


# by jogikai | 2023-06-15 23:19 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)  

サンルームで室内干し


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写真1)2階のサンルーム(撮影:赤木香菜子)


我が家のサンルームの話です。もともとは、1階の屋根にのっかっている約4帖大のバルコニーでした。1階部分は親世帯の寝室の一部です。

2世帯リフォームを考える際に、1階が親世帯、2階が私たちの世帯と分かれて暮らすことになるので、2階にも物干しスペースは必要。また、共働きの我が家では、急に雨が降ってきたときに洗濯物が取り込めない状況なので、いっそのことバルコニー部分をサンルームとして建築することにしました。室内干しの利点として考えられることは、雨でも干しておける、花粉が付かない、夜に洗濯しても干すときに安全など。

東側と南側には、FIXの窓と横すべりの窓を上下に段窓サッシとして、それを5カ所L型に配しました。さらに、より効率的に日差しを取り込み、換気もできるように天井に2個のトップライトも付けました。

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トップライト(撮影:Kota Takeishi (VELUX)


床は、300□の磁器タイルを圧着貼とし、濡れた水着や上ばきから水が垂れても大丈夫なように仕上げました。子どもが成長する段階で、水彩画や水を使う遊びにも対応できると考えました。

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サンルームの床タイル(撮影:Kota Takeshi (VELUX)


物干し金物と物干し竿2本を設置した他、シーツやバスタオルなど大物を干す場合には秘密兵器の室内物干しワイヤーなるものも設置しました。箱に付いている出っぱりを引っ張ってワイヤーを伸ばし、反対側の受けに引っ掛けるようになっています。予備として考えていましたが、今では、常に出しっぱなしで、ランチクロスやフェイスタオルも干しています。後からでも施工できるので、手軽に設置できると思います。

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写真4)物干しワイヤー(撮影:赤木香菜子)


失敗したことは、トップライトの開け閉めを手動にしてしまったこと。電動で開け閉めできるものは、開けたままで雨が降ってきても、センサーが内蔵されているので、自動で閉めてくれるのですが、手動は自分で閉めないといけません。結果、開けたまま出掛けられないということになりました。建物の他の部分もほぼ全てリフォームする大規模な計画だったため、当時は予算が足りず、削ってしまった項目だったのですが、ちょっと後悔しています。

文: 赤木香菜子 / 一級建築士
設計:赤木Y&K設計室

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※『女性建築技術者の会(通称:女技会)』とは、
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# by jogikai | 2023-06-01 08:00 | 住宅設計 | Trackback | Comments(0)